DI Method

日本語では瞬間部分積分という名で知られているようですが,
こちらの名前は海外で紹介されているのであえて取り上げます.
(例題探しも豊富ですからね)


モチベーション

$\int f(x)g(x) \,dx$ の形の積分を解く場合を考えます.
ただし, $f,g$ の少なくとも一方は多項式のように $g^{(k)} \equiv 0$ となる $k$ が存在するものとします.
(以下 $g$ が上の条件を満たすものとします)

以下は素朴に部分積分を繰り替えす方法の復習です:

便宜上 $f_{+k}$ を $f$ を $k$ 回積分した原始関数とすると,
$f(x)g(x) = f_{+1}'(x) g(x)$ と置き換えて部分積分を行います.

つまり, $f$ について1回積分し, $g$ について1回微分するようになります.
これが $g^{(k)} \equiv 0$ となるまで繰り返します.

ただし部分積分特有の式変形は写し間違いや単純な計算ミスを誘発しがちです.
この記法を単純化したのが DI Method です.

DI Method

計算時に次の形式で $f$, $g$ を書き込みます:

このテーブルの行ごとを符号を含めて掛け算し, この計算結果を足し合わせます.
これが $\int f(x)g(x)\,dx$ の計算結果となります.
(大仰な記述ですが, 単に部分積分を繰り返しただけです)

利用

指数部分が $-$ の場合, すべての行の計算結果が $-$ になります.
一方で $+$ の場合では正負が交互に現れます.
(*この事実だけも検算に十分役立ちます*)

この他の利用場面

指数分布には抜群に効き目を発揮します.
その他はラプラス分布やアーラン分布あたりでしょうか。(登場頻度は格段に下がりますが)


DI Method だけではDependency Injectionがヒットします.
"integral"をつけて調べてみてください.